【摂食行動】食べるを理解する

「食べたばかりのなのにお腹が空く」

「食べても食べても満腹感が感じない」

そんな悩みを感じたことは1度はあるのではないでしょうか。体重管理をしようと試みても必要以上に空腹感を感じたり、食事に物足りなさを感じるのは摂食行動を理解できていないことが要因かもしれません。

そこでこの記事では摂食行動を簡単に理解するために誰でもわかりやすく解説します

摂食行動には”3つの感覚”が関係する

摂食行動とは?

生物(ヒト)が様々な環境の変化に適応しながら内部環境を一定に保つのは生体恒常性(ホメオスタシス)という生命システムが作用しているからと言われています。生物は生きる上でエネルギーを摂取し続けなればいけません。そのエネルギー摂取を恒常性や体内の様々な変化により脳の視床下部の満腹中枢と摂食中枢を調節して食べる事を摂食行動を言います。

食べることを抑える”満腹感”

満腹感というのは食事をした後の「もう食べれない…」という感覚です。そのように感じる裏では脳の視床下部にある満腹中枢が刺激され、満腹感を感じる仕組みになっています。満腹感には食事の摂取量を自動的に調節する働きがあります。満腹感を感じる条件は2つあります。

  • 胃壁の進展 胃の食べ物が入り、胃壁が伸びる事で迷走神経に刺激が発生し満腹中枢を刺激する
  • 動脈と静脈のグルコース濃度の差が増加 食物が吸収され、動脈のグルコース濃度が上昇することで満腹中枢を刺激する

食べることを促進する”空腹感”

空腹感というのは一定時間食事をしなかった時の「食べたい、お腹空いた」という不快な感覚です。そのように感じる裏では脳の視床下部にある摂食中枢が刺激され、空腹感を感じる仕組みになっています。空腹感には生命維持のために必要な摂食を促す働きがあります。空腹感を感じる条件は3つあると言われているが満腹感ほど単純ではなく、精神状態や健康状態によって左右されます。

  • 動脈と静脈のグルコース濃度の差が減少 動脈と静脈のグルコース濃度の差が減少し、摂食中枢を刺激する
  • 血中遊離脂肪酸の増加 エネルギー不足により中性脂肪が分解し、血中遊離脂肪酸が増え、摂食中枢を刺激する
  • 内分泌ホルモンの分泌 胃から分泌するグレリンにより摂食中枢を刺激する

生命維持とは異なる”食欲”

食欲というのは生まれてから形成される感覚でヒトそれぞれによって異なると言われています。食欲は満腹感と空腹感とは異なり、生命維持には関係のない感覚と言われていて大脳の前頭葉で食欲を感じていると言われています。そのため感情や精神面に大きく影響を受けます。適切な食欲にするためには精神環境や感情面を良好な状態に保つことが重要になります。

他の視点から見た摂食行動

摂食行動には3つの感覚が関係していましたが感覚とは別の視点で摂食行動を観察していきましょう。

満腹中枢と摂食中枢

摂食行動の全体を調節しているのが間脳の視床下部にある摂食中枢(視床下部外側核:LH)と満腹中枢(視床下部腹内側核:VMH)であり、摂食中枢(LH)が刺激されると空腹感を感じ、摂食を始める。満腹中枢(VMH)が刺激されると満腹感を感じ、摂食を止める。この2つの中枢は独立したものではなく、互いに相反しながらバランスを取っています。

満腹中枢と摂食中枢は膵臓、甲状腺、副腎にも影響を与え、ホルモンの分泌を介してエネルギーバランスと代謝の調節に関わっています。また視床下部は胃の膨満感、体内のグルコースセンサー、アミノ酸、遊離脂肪酸などの化学信号や大脳皮質からの感覚信号を受け取り摂食行動に影響を与えています。

消化管ホルモン(外分泌ホルモン)

消化管に食物が入ると消化管は消化管ホルモンを放出します、その消化管ホルモンが視床下部の満腹中枢に作用して摂食を抑制します。摂食行動を抑制する消化管ホルモンにはコレシストキニン(CCK)ソマトスタチンガストリン放出ペプチド(GRP)ペプチドYYなどがあり、短期的な摂食行動を抑制します。また摂食促進の消化管ホルモンにはグレリンがあります。

内分泌ホルモン

生物(ヒト)には生体恒常性(ホメオスタシス)という生命システムが作用していて、生体恒常性(ホメオスタシス)は摂取行動を調節する内分泌ホルモンにも影響を与えます。生体内のグルコースセンサー、アミノ酸、遊離脂肪酸などの化学信号を受け取り、内分泌ホルモンを分泌し、摂食行動を調節します。摂食行動を抑制する内分泌ホルモンには色素細胞刺激ホルモン副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンヒスタミンなどがあり、また摂食促進の内分泌ホルモンにはニューロペプチドYオレキシンなどがあります。

食べる時間と食事の重要性

規則正しい摂食行動では消化吸収に先行して様々な消化酵素が分泌され、効率良く消化吸収を行います。そのためには内分泌ホルモン、代謝リズムを生活リズムに合わせなければならない。その基盤となるのが規則正しい食生活です。

概日リズム”サーカディアンリズム”

概日リズム(サーカディアンリズム)とは人間が生まれながらに持った体内時計のことです。ヒトはその体内時計に合わせて体温の変動、睡眠時間、運動、代謝、免疫機能などの生命活動の微調節を行い、心身の健康を管理しています。

概日リズムは光の明暗によって調節され、摂食の影響、気温の変化によってリズムを形成します。自分に合わせた概日リズムを作るためには決められた時間に食事を取ることが重要になります。

欠食や深夜の夜食

欠食や深夜の夜食は基本的には概日リズムを崩す行動に当たり、基本的には避けた方がいいと考えます。通常の生活サイクル(7時起床-24時就寝)の人は20-21時以降に食事をすることで血糖値が急激に上昇したり、中性脂肪値が上昇すると言われています。血糖値を急激に上昇させないためには就寝前3-4時間前の食事が好ましいです。

しかし、生活サイクル上、「欠食してしまう、夕食の食べる時間が遅くなってしまう」方もいますので、その方への対策としては生活サイクルに合う食生活に変更することが効果的です。

  • 欠食 起きる時間を早める、移動中に食べる、栄養補助食品の活用など
  • 夜食 分食する、最低限の食事量にするなど

朝食の重要性

朝食を重要視する理由は体温やホルモン分泌のリズム形成に必要不可欠だからです。就寝前の食事から長時間の空腹を経た後の食事は体を目覚めさせる信号として重要になります。朝食を欠食することで基礎代謝の低下、免疫力の低下、肥満になりやすい傾向があると言われています。また、朝食を取らず概日リズムの形成ができないと空腹感を促すホルモン(グレリン)の分泌量が増え、食欲を抑えるレプチンの分泌量が低下し過食の原因になります。つまり十分な睡眠をとり、規則正しい食生活が健康への近道です。

理想の食事にするための”3つのポイント”

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